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特集2 大同特殊鋼の研究開発の取り組み CSR報告書 | 大同特殊鋼

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大同特殊鋼 CSR報告書2017 F E A T U R E

特集

2

 大同特殊鋼の研究開発の取り組み

社会の発展を支えるために

始まりは鋼の研究から

あらゆる産業分野において技術革新が急激に進む現代にあって、より高特性・高次元の素材や技術が 求められています。約100年前に始まった特殊鋼の研究以来、培ってきたフロンティアスピリットと共に、 これからも産業の発展に貢献する研究開発に取り組んでいきます。

● 磁石の製造と開発について

当社の磁石材料事業は、長い歴史のうえに成り立っています。1976年に3社合併(大同製鋼株式会社、日本特殊鋼株式会社、特殊製鋼株

式会社)し、現在の大同特殊鋼となって以降は、ほとんどすべての磁石の量産を経験してきました。現在では、希土類磁石に特化した事業を行っ

ています。

研究開発においては、1986年に研究を開始したサマコバ(SmCo)焼結磁石、ネオジム(NdFeB)ボンド磁石(MQ1)について、製造法を

確立し製品化してきました。特にネオジム磁石では、研究開始の翌年1987年にネオジムボンド磁石(MQ1)を製品化、続いて1992年ネオ

ジム熱間塑性加工磁石(MQ3)量産技術の確立に成功し、両磁石を国内で初めて事業化しています。更に、2003年に高磁力・高耐食性を

特徴とするサマ鉄ボンド磁石(SmFeN)を開発し事業化、2010年にはPLP(Press Less Process)製法を導入し、高磁力、高耐熱性を持

つPLP焼結磁石を開発し、量産に至っています。

<希土類磁石の種類と主な用途>

特  徴 主な用途

サマコバ(SmCo)

焼結磁石

●強力な磁力と耐熱性に優れる

●錆びにくい一方、硬度が低く欠けやすい

モーター、小型発電機、音響機器、 電子レンジ、オーブン など ネオジム(NdFeB)

ボンド磁石(MQ1)

●プラスチックやゴムと混ぜ合わせた磁石粉を成形した磁石

●加工しやすいため、複雑形状や薄肉品に向く HDD

スピンドルモーター、 携帯電話の振動モーター など ネオジム熱間塑性

加工磁石(MQ3)

●リング形状磁石としては世界最高峰の磁気特性を有する

●高い耐熱性があり、磁石内部からの腐食がほとんどない

自動車用電動パワーステアリング (EPS)用モーター など

サマ鉄ボンド磁石 (SmFeN)

●強力な磁力と耐熱性、耐食性に優れる

●希土類資源の有効活用

各種モーター、磁気センサー

PLP(Press Less Process)

焼結磁石

●ネオジム焼結磁石の一種

●ネオジム焼結磁石を上回る高磁力と高耐熱性

自動車用駆動モーター、 エアコン、スピーカー など

● 重希土類完全フリー磁石の開発まで

≪背景≫

自動車用電動パワーステアリング用モーターなどに使用されているネオジム熱間塑性加工磁石(MQ3)は、省希土類を実現し、当社グ ループ会社である株式会社ダイドー電子の工場(岐阜県中津川市)で量産しています。従来工法ではリング状でしか安定的に製造すること ができませんでした。しかし、お客様のニーズや使用用途の拡大、また市場規模の大きさなどの点から、平板形状での製造プロセス開発 を進めることとなりました。

≪成果と将来≫

MQ3の製造工法である「熱間加工法」では、磁粉を焼き固めて製造する「焼結加工法」よりも微細な結晶で成形することができます。 結晶が微細であればあるほど磁石性能は高まり、耐熱性に優れるという特性が得られます。この「熱間加工法」についての研究を深耕 させ、お客様側の製品設計の最適化などと共に共同で開発した結果、ジスプロシウム、テルビウムを全く使用しない平板形状の「重希土類 完全フリーネオジム熱間塑性加工磁石」の開発に成功しました。

平板形状での製造が可能になったことにより、今後の研究が進めば 、より複雑な形状の製造が可能になるかもしれません 。自動車を はじめ、家電製品やOA機器などに加えて、今よりも更に多様な産業分野での活用が期待できます。

当社の研究開発は、創業から

2

年後の

1918

年にその歴史がスタートしました。

日本ではまだ黎明期にあった電気炉製鋼技術と特殊鋼製造について研究を重ね、

そこで得た知見を土台として、これまで多くの新素材・新技術の開発に取り組ん

できました。磁石材料の研究開発もその一つです。今や人々の暮らしになくては

ならない「磁石」。その可能性を追求し、よりよいものづくりにつなげていきた

いと考えています。

技術開発研究所(名古屋市南区)

MQ3リング磁石

(2)

9

大同特殊鋼 CSR報告書2017

F E A T U R E

重希土類完全フリー磁石がハイブリッド車用モーターに世界で初めて採用されました

2016年7月12日、当社は、本田技研工業株式会社(以下、Honda)と共同でハイブリッド(HV)車

用モーターに適用可能な高耐熱性と高磁力を兼ね備えた、重希土類完全フリー(不使用)熱間加工ネ オジム磁石の実用化を発表しました。新たに開発した磁石はHondaが2016年秋に発売した新型「フ リード」に採用されています。

ハイブリッド車などの電動車に搭載される駆動モーターには、世界最強の磁力を持つネオジム磁石 が使用されていますが、高温環境下で使用されるため高い耐熱性が要求されます。

その耐熱性を確保するため、重希土類元素(レアアース)であるジスプロシウムやテルビウムを添加 していました。しかし、重希土類は世界的に有力鉱床が偏在し、希少金属(レアメタル)にも分類される ため、安定調達や材料コストの面でリスクを抱えており、これら重希土類元素の使用量を低減すること が、ハイブリッド車駆動モーター用にネオジム磁石を使用するうえでの大きな課題の一つでした。

当社のグループ会社である株式会社ダイドー電子では、ネオジム磁石の一般的な製造工法である 「焼結工法」とは異なる「熱間加工法」により磁石を量産しています。そして 、この「熱間加工法」の

技術を当社が更に進化させると共に、Hondaが磁石形状を見直すなど、これまでの駆動モーター開

発の経験を活かし、共同で開発を進めた結果、重希土類元素を全く使用せずにハイブリッド車用駆動 モーターに適用可能な高耐熱性、高磁力を備えたネオジム磁石を世界で初めて実用化しました。この 技術の採用により、課題であった重希土類元素の制約から脱却し、資源調達リスクを回避できると共 に、調達ルートの多様化も図ることが可能となりました。

今後も引き続き、重希土類完全フリーを維持しながら、更なる高特性化に向けた磁石の開発を推 進していきます。

●「車載用重希土類フリー磁石」が「

2016

年日経優秀製品・サービス賞最優秀賞日経産業新聞賞」を受賞

日本経済新聞社が主催する「2016年日経優秀製品・サービス賞」において「車載用重希

土類フリー磁石」が、最優秀賞 日経産業新聞賞を受賞しました。

1982年に始まり、2016年で35回目を迎えた「日経優秀製品・サービス賞」は毎年1回、

特に優れた新製品・サービスを表彰するもので、41点(最優秀賞18点、優秀賞23点)が

選出されました。

「車載用重希土類フリー磁石」は、最優秀賞のうち、産業用機器や消費財などで独創的、

先進的な製品を表彰する「日経産業新聞賞(5点)」に選ばれ、受賞に至りました。

i-DCD駆動モーター用ローター 重希土類完全フリー磁石

2017年7月5日、名古屋マリオットアソシアホテルにおいて、希土類‐鉄磁石の魅力と将来を 考えるシンポジウム「Aiming at The Rare Earth Iron Age」を開催しました。

当社主催の本シンポジウムでは、磁石材料を発明した4人の著名な研究者と、自動車メーカー をはじめとする磁石ユーザーの開発担当者を招き、講演いただきました。

産官学合わせて約450人が参加し、盛況のうちに閉幕しました。

参照

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